短歌人2月号より その3 会員1
上空を滑空しつつときをりは風に溺るる隼か、あれ 西五辻芳子
隼が急に高度を下げたり、旋回したりするさまを詠んでゐる。
結句、あれ、で読む者は上空を振り仰ぐ。
店内ではぐれた夫に手を振れどいたっずらっ子のように走って来ない 高木律子
ちよつと焦れてゐるかんじ、いいな。
苺ジャムの赤たっぷりのパンを食み牛乳をぐいぐいと飲む昼 古賀大介
苺ジャムの赤と牛乳の白を飲む。
ぐいぐい、の句またがりが力強い。
故里は冬こそよけれ雪降れば終日家に籠る幸せ 中田公子
ゲームもスマホもない時代のこどもであらうか。
楽しい遊びはいくらでもあつたよ。
この孫は衝動買ひなどせぬ子にて時かけ選りにしペンケース欲る 伊地知順一
丁寧な詠ひぶりや佳し。
孫を、直接的に褒めてゐないところも、好もしい。
橋下に鴨ら巡るを見てゐれば一昨年入水したくなりしこと思ひ出しぬ 來宮有人
出;いだ
一昨年入水したくなりしこと、の字数に溢れる想ひが読者の胸をうつ。
したたかに、うたれる。

この記事へのコメント
あぁ、ありがとう。
嗚呼、來宮有人さん・・・と思っていて、、、
來宮さん、がんばらずに、深呼吸して、、、