「さくら」

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  さくら

小夜嵐すぎぬ つぼみがむりむりと枝に肥るをたしかめにゆく

信号にとまる車の屋根の雪がフロントガラスを滑りおちたり

花冷えに毛糸の手袋したままでさくらつぼみを撮らむとするも

岸にそふ葦がとぎれるひとところラッパ水仙かたまり咲ける

水仙に明るむ岸にうちよせる蜆の殻のはつかも揺れる

寝ころびて『連山』を読む昼下がりささげる手指冷たくなりぬ

年年に桜を撮らむとする思ひ小さくなりきて今日さくら咲く

雨に濡れしさくらの花の白ければ夢の中なる遊山のさくら

高校生男女五人で花陰に座しさざめくを見るはたのしも

足立たずなりて自分で救急車を呼んだと隣のをぢさんがいふ